【平泳ぎ】100mと200mはもはや別物-人生の帆船

 

100m違うだけで全く違う平泳ぎ

最近暑いので、よく屋外プールに行っています。

公営プールなので様々なレベルの人がいて、思いっきり飛ばすことはあまりできずに周りに合わせて泳ぐことが多々あります。本当はクロールや背泳ぎで泳ぎたいところをスピードを出さないように平泳ぎで泳ぐこともあります。

そんな風に今日も平泳ぎを泳いでいたのですが、私は平泳ぎを泳ぐときに一番大切にしていることがあります。それはキックをした後しっかり体を一直線に伸ばす(この動作をグライドと言います)ことです。理由は2つあります。ひとつは抵抗を避けるため、ふたつめはキックで得たスピードを活かすためです。

しかし、泳いでいるときにふと思ったのです。「この間の世界水泳では100mの選手はグライドがかなり短かったな。対照的に200mの選手はまるでジンベエザメが泳いでいるかのようにグライドの時間が長かった。もはや別の泳ぎのようだ。」

 

実際に100mと200mを比べてみましょう。

世界水泳2019 100m平泳ぎ決勝

 

センターレーンのアダム・ピーティ(イギリス)は別格として笑、他の選手もグライドの時間がかなり短いように感じます。(本当は前半50mもあればもっと比較しやすかったです。)

これはグライドの時間を長くすると最高速でいられる時間が短くなるからです。どういうことかというと平泳ぎはキックをした直後が一番スピードが出ています。そのスピードを保つためにグライドをするのですが、グライドをしている間も徐々にではありますが減速してしまいます。

100mが得意な選手は、グライドをするのはトップスピードでいる間だけでそれよりかは腕のかきやキックでテンポよくトップスピードを出していく泳ぎをしています。

 

世界水泳2019 200m平泳ぎ決勝

 

今度は200mの泳ぎを見ていきましょう。

非常にゆったりとした泳ぎをしていますね。やはり200mの選手はグライドが長いですね。

グライドを長くするメリットは体力の温存と抵抗を避けることです。

前者はグライドしている最中は手足の力が抜けています。力を抜いている間筋肉を休めることができるので体力を温存することができます。

後者はどういうことかというと、平泳ぎは4泳法の中で最も抵抗を受ける泳ぎです。呼吸時に上半身を上げたり、キックで足を引きつける際だったりで抵抗を受けます。抵抗を受けてしまうとスピードが下がったりしてタイムが落ちてしまします。グライドを長くして泳ぎをゆったり大きくすることは、非常に省エネな泳ぎ方です。最後まで力を温存できればラストスパートを懸けることだってできます。そうしたことで200mの選手は伸び伸びとした泳ぎになっています。

 

こうして比べてみると同じ泳法でも、大分泳ぎ方が違いますね。こうしたことを考えるのも水泳の楽しみの一つでもあります。また気になる方は実際に泳いでみて確かめてみてはいかがでしょうか?

大学スポーツとはどんなものか-人生の帆船

最近雨が多く若干憂鬱な肯定ペンギンです。このごろ湿度あがってきてジメジメとした感じになってきました。梅雨明けになれば一気に蒸し暑くなることが間違いなしです。

さて、夏といえば様々なスポーツでインターハイ等、全国大会が開かれ熱気を帯びてきます。今回はその中でも大学スポーツについて紹介していこうと思います。

大学スポーツについて 

大学といえば、人生の夏休みといわれるくらい自由な時間が過ごせます。恋愛をしようがよし、友達づくりのためにサークルに入るもよし、アルバイトをしてお金を稼ぐもよし、「自分には仲間などいらない!」と学問に打ち込むもよしです。色々なチャレンジができる期間です。その中でも異彩を放つのが大学スポーツです。なぜ異彩を放つのかはこれから説明していきます。

様々な競技がある

高校までの部活といえば、野球やサッカー、バスケットボールなどメジャーなものしかありませんでした。学校によってはそれらすらない学校もあります。

しかし、大学の部活は様々な競技があります。例をあげるとキリがないですがヨットやカヌー、射撃、ボウリングといった高校ではあまり見られなかった競技の部活がたくさんあります。こういったマイナーな競技の場合は初心者歓迎の部活が多く気軽に始められることが特徴です。

高校の部活との違い

ガチ勢とエンジョイ勢

大学の部活は学校又は競技によって実力が大分変ってきます。

ガチ勢(強豪校)

強豪校の部活の場合は部員の大半がスポーツ推薦で入学してきたその競技のエリートです。また指導者も高校までとは違い競技未経験者が指導にあたることはなく、その道のベテランが指導に当たります。また、日々の練習を支えるトレーニング施設も充実しており、競技に打ち込むには充分な環境になります。

ただその分競技に対して真剣に撃ち込まなくてはならなくなり、アルバイトはもちろん、サボることすら許されません。

競技を楽しむというよりは勝利を第一に日々取り組んでいくことになります。

エンジョイ勢

対して、あまり強くない学校は競技未経験でもやる気があれば入部可能です。(ブラック企業の求人みたいですね)また指導者もいない場合が多く、学生達が日々の活動を自主的に作っていきます。自分達で練習メニューをつくらなければならないのでその点は苦労するでしょう。

しかし、部員同士のレベル差があるので、ガツガツ勝利というよりかは、和気あいあいにやっていこうという雰囲気です。

リーグ制

大学のスポーツの特徴の一つとしては、リーグ制があげられます。

リーグ制は、球技以外にも陸上競技や競泳にもあります。

なぜこのように大学スポーツはリーグ制があるかというと学校による実力差が激しいからです。

前述したように同じ競技でも学校によっては、部員のレベルや何を目標にするかは違っていきます。そこでレベル差が激しすぎるとある学校だけが勝つことになり競技全体の底上げにつながりません。そういったことを避けるために同じレベルの学校でリーグを組むことになります。

多種多様な大学スポーツを楽しもう

とは書いていますが別に部活に入ることを強制するわけではありません。ただ入らなくても高校までやっていた競技や興味のある競技の試合を観に行くだけでも面白いです。

自分の母校が戦っているところを観ていると思わず応援したくなるものです。

週末に試合が組まれることが多いので、お時間がある方は選択肢のひとつに加えることをお勧めします。

きっと今まで見たことがないものが見れるはずです。

競泳ジャパンオープン2019個人的注目選手~男子100mバタフライ編~

オリンピックを来年に控え、どの競技もあわただしくなってきましたね。

中でも水泳・競泳競技はオリンピック前年は様々な選手が存在感を出してきます。日本も負けていられませんね。

と言いたいところなのですが、今年は日本代表が少なくどこか重たい雰囲気があります。

そんな中、今月末に競泳ジャパンオープンが開催されます。この大会では世界水泳の追加選考会でもありますので、素晴らしい記録と勝負で重苦しい空気を吹き飛ばしてもらいたいです。

ということで今回は男子100mバタフライの注目選手を個人的に紹介していきます。

注目選手

派遣標準記録:51.47 残り1枠

川本武史

自己ベスト:51.34

特徴:前半型

ものすごい大きな体をしています。

非常に柔らかい泳ぎなのですが、水中ではグングン進んでいきます。

また、背泳ぎも得意なだけあって壁際(ターン及びドルフィンキック)が非常に速いです。

戦術

スタートが苦手なためにスタート時には、若干出遅れます。

しかし、水中に入るとあっという間にトップに躍り出ます。その後50mのターンまではトップを譲りません。後半粘れるかが派遣標準を切れるかがかかってきます。

安江貴哉

自己ベスト:51.84

特徴:前半型

安江選手は非常に筋骨隆々な体をしていて、これぞスプリンターという感じです。

スタートが非常に速く、先頭で引っ張っていきます。

また、泳ぎも非常に力強く、魅せてくれる泳ぎです。

戦術

スタートから積極的に飛び出していきます。そしてパワフルな泳ぎで周りを引っ張っていきます。50mのターン後もしっかりドルフィンキックを打ってトップスピードを保っていきます。後はその勢いをどこまで保てるかが勝負の鍵となります。

石川愼之助

自己ベスト:51.92

特徴:前半型

石川選手は体格は非常に小柄なのですが、その体を生かしてハイピッチな泳ぎをしてくれます。また、キックも非常に強く、キックを打つごとに体がどんどん前に行きます。

戦術

スタートは他の選手と変わりませんが、浮き上がってくるとハイピッチな泳ぎで周りについていきます。後半もそのガッツある泳ぎができるかどうか注目です。

小堀勇気

自己ベスト:51.69

特徴:前半型

非常にフラットな泳ぎが特徴です。体が硬いと本人は言うのですがそんなことを感じさせないスムーズな泳ぎをします。

戦術

非常に勝負強いです。

スタート時やターン時などはあまり目立たないのですが、ここぞというときに一気に加速していき勝利をつかんでいきます。

梅本雅之

自己ベスト:52.01

特徴:後半型

この選手もフラットな泳ぎをします。スタートやターン後などは出遅れるのですが、泳ぎでどんどん迫っていきます。

戦術

前半は周りの選手についていくことが予想されます。後半は如何にスピードを落とさずに追い越せるかどうかが勝利をつかむ鍵になっていきます

岡島祐樹というスイマー?コーチ?Youtuber?-人生の帆船

最近、twiiter上で懐かしい名前が上がっていたので、今回紹介します。

競泳をやっていた方はご存知の方もいらっしゃるでしょうが、岡島佑樹という選手を覚えていますか?かつて、自由形・平泳ぎ短距離で名を馳せた選手です。簡単に経歴をまとめます。↓は本人のtwitterです。

twitter.com

 

経歴

  • 2011年3月武蔵野高等学校卒業
  • 2011年4月国士舘大学入学
  • 2015年3月国士舘大学卒業

競技実績

  • ユニバーシアード(大学生のオリンピック)2013年日本代表
  • 2013年日本選手権50m平泳ぎ第2位
  • 2014年JAPAN OPEN50m平泳ぎ第2位

など輝かしい実績を持っています。個人的に申し上げるとこの選手は、50mが専門の

超絶スプリンターです。特に平泳ぎに関しては日本トップクラスのスプリント力を持っています。ただ、100m以上になるとあまりやる気がでないと本人が語っています。下の記事はロンドン五輪選考会前のものです。

www.nikkansports.com

50mしか泳げない?

確かに100mの種目ではあまり結果を残せていません。インカレ(日本学生選手権)では、50mの平泳ぎが種目にありませんので、100m平泳ぎにも出場していました。しかしすべて予選落ちでした。「50mの持ちタイムからするともっと出せるのでは」、と思わざるを得ないようなタイムです。2014年のシーズンベストタイムを例に挙げますと、

  • 50m平泳ぎ 27秒70
  • 100m平泳ぎ 1分04秒09

今、日本代表で活躍されている小関也朱篤選手も当時50mでは同じようなタイムで泳いでいて比べてみますと

  • 50m平泳ぎ 27秒69
  • 100m平泳ぎ 59秒62

と50mではほぼ同じなのに100mでは大分差をつけられています。ただ、勘違いしないでください。彼は日本で一番出場するのが難しい日本選手権に100mでも出ていて決して遅くはありません。全国大会に出場したことがない私としては、日本選手権に出る人は雲の上のような存在です。それくらい凄いのです。

 その後は

そんな彼は大学を卒業した後は、院生として修士課程に進みながら競技を続けていました。しかし、最近音沙汰がなかったのですが、コーチとしての道を歩まれていたようです。

okajima50m.wixsite.com

webサイトを見た感じだと、初心者から上級者まで幅広く教えているみたいですね。速い人が教えるのがうまいとは限らないわけですが、やはり日本代表経験があると教えてもらう側も安心するに違いありません。私も教わってみたいものです。

 Youtubeに進出

そんな彼がYoutuberとして活動しています。

www.youtube.com

私もちらっと見たのですが、思いの外プレゼント企画などYoutuberらしいことをしていてほほえましかったですね。


【平泳ぎ上達プログラム】平泳ぎキック初級編 STEP1〜2

 しかし、ちゃんと水泳に関する話もしています。この動画では平泳ぎのキックで進めるように練習方法を載せています。私もこれをみて苦手な平泳ぎを頑張ろうかなと思ってみたり、みなかったりします笑。

最後に

今のところ平泳ぎの動画しかないですが、他の種目に関しても動画があがるのを期待しましょう。

萩野選手のスペイン合宿不参加について思うこと

たまにはゲーム以外の話もしようと思います。

先日のコナミオープンでは萩野公介選手は400m個人メドレー予選でベストから17秒落ちの4分23秒で泳ぎ、その後体調不良を訴え決勝を棄権し、病院で検査を受けました。翌日にエントリーしていた200m個人メドレーも棄権しました。検査では身体に異常はないとのことでしたが、一体彼の身に何が起きているのでしょうか?

初めてではない体調不良 

ここ最近で萩野選手がレースが出来なくなるほどの体調不良になるのは、2018年1月以来初めてです。スイミングマガジン2018年4月号によると萩野選手は2017年~18年の年末年始にかけて、体調を崩し練習にいっては休むということを繰り返していたそうです。ある日、平井コーチに「顔色が悪い。帰って休みなさい」(原文ママ)と言われ、その後検査したところ疲労が溜まっているといわれ、3週間の休養を取ったそうです。

おそらく彼の練習への姿勢がそうさせてしまったのでしょう。彼が特集された番組を何回かみたことがありますが、彼の練習への姿勢はとてもストイックです。全力を出すときは、全力を出し尽くし、果てはタイムまで自分で計算してしまうほどです。自分が選手だったころ、練習であそこまで頑張る前に体か心のどちらかが悲鳴を上げ、練習が終わる前にヘロヘロになることも多々ありました笑。あそこまで頑張れたらもっと速くなれたかな(遠い目)。

次に私なりに考えた彼をここまでさせてしまった原因を挙げていきます。

萩野を追い込んだもの 

プロ化

萩野選手はプロ選手です。企業とスポンサー契約を結び、契約金で生計を立てています。彼が契約をしているのはブリヂストンとナイキです。ブリヂストンからは2017年4月1日から2022年3月末までの契約金として5億円、年間で1億円をもらっています。ちなみにサラリーマンが定年までに稼げる賃金は2~3億円と言われています。彼は5年でそれ以上を稼いでいるので並大抵のことではないのがわかりますね。もう片方のスポンサーのナイキからも金額は明らかにされていませんが、おそらく同等のお金をもらっているでしょう。彼にかけられた期待は尋常ではないでしょう。そういったことが彼にプレッシャーを与えているのではないかと私は思います。

リオ五輪後の不振

彼はリオ五輪で400m個人メドレーで金、200m個人メドレーで銀、800mフリーリレーで銅をとっていますが、その後の彼の戦績はあまり芳しくはありませんでした。2017年世界水泳では、200m個人メドレーで銀メダルを獲得しましたが、金メダルを狙っていた彼の悔しそうなインタビューが印象に残っています。しかも負けた相手のチェース・カリシュ選手は200m個人メドレーで初アメリカ代表でリオ五輪には出ていません。そんな中で自己ベストを2秒近く短縮して優勝したカリシュはお見事だと言いたいです。しかし、オリンピックのこの種目で銀メダルを取った、しかも自己ベストであれば勝っていた相手であれば尚のこと悔しいでしょう。そういったことも彼を苦しめていると思われます。

萩野選手の性格

私の印象では、萩野選手はとても理性的で思慮深い性格です。何事も理詰めで考え着実に進んでいくタイプです。そういったパーソナリティが彼を苦しめているのではないかと思います。「自分はプロ選手なのだからもっと結果を出していかないといけない」というふうに考えるかもしれません。そういう風に考えることは悪いことではありません。しかし、考えすぎてしまうと悪いことばかり頭の中に思い浮かべてしまうものです。ただ彼の中で結果が出せていないと思っているだけで私はそうは思いません。日本選手権に出るだけでもすごいのに、世界選手権でメダルをとるなんてもう賞賛に値するものだと私は考えます。

最後に

ここまでネガティブなことを書いてきたわけですが、私は萩野選手の復活を待っています。個人メドレーだけでなく、背泳ぎや自由形でも素晴らしい泳ぎを我々に見せてくれた萩野選手。またあの泳ぎが見られるよう願いながら、今は国内でゆっくりじっくり自分の泳ぎを追及していってほしいです。